春の予感/栗栖真理亜
吹き荒れる吹雪は去り優しい陽射しが大地を照らす頃
あなたの温かい眼差しのような春がやってくる
雪に埋もれた生命は息を吹き還すように精一杯、天に向かって手を伸ばすよ
それなのに大切なものが遠くへ行ってしまう
春の訪れとともに
冷たい風も優しく頬に触れて来るのにどうしてこんなに哀しいのだろう
ココロはカサカサに乾いたまま大切な誰かの影を求めてるよ
嗚呼、僕は臆病モノだから時間を止めて愛しい影にすがりつくことは出来ない
建ち塞がる壁は僕を愛するひとからさらに遠ざけてゆくよ
ねぇ、僕の愛しい人
どうかその口唇をもう他の女(ヒト)には捧げないと約束して
瞳で交した甘い囁
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