旧水戸街道環状島群島/森 真察人
女が
いつ死んだってかまやしないわ
と、手を弄(いじ)っていたから
轢(ひ)いてやろうかな と、思った
照灯に照り上がる彼女の両眼には、矢張(やは)り労苦の星など無かったから、過ぎて、
矢張り轢いてあげれば良かった
と、思った。
?
男が
さっさと死んでしまえ
と、黒硝子越しに視ていたから
僕の白質を切截(せっせつ)して呉(く)れ と、思った
品無く歩く彼はしかし伴侶を連れていたから、過ぎて、
白質よ、燃えよ
と、思った。
?
延焼する
鼻から脳へ、脳から眼へ。
眼から活字へ、活字から尾根へ。
?
火傷し
環状の尾根から内海の
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