冬の静けさ/山人
昔の事というのはひどくキラキラしていて、内臓や脳味噌が泡立つような気持ちになっていた気がする。
年末から年始にかけてはスキー場に急ぐスキーヤーたちが雪煙を上げながら、山村の県道を疾走していたものだった。
今は超早朝に大きな除雪車が轟音を上げ、雪を押しのけ、ロータリーが雪を吹き上げる。いっときの喧騒が終わると何事もなかったかのように時間は静止し、不規則に落ちてくる雪だけがそこにある。
私たちは無人駅のホームの傍の階段や通路をスノーダンプなる器具に雪をさらいこみ、線路をまたいて川に捨てる作業を延々と続ける。ところどころに散らばった雪を今一度スノーダンプ器具で一所に集めては、サクリ
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