風のうちがわ/よるもと
女の子が歩いているようだ、一歩が大きい。染みてくるグレーが嫌で、いつも通りの食卓につく。きみの「頂きます」を言うときにだけ合わさる箸が、鮮明に焼きついている。白ご飯を食べるとき、きみはいつも美味しそうに口に運んでいる(顔がよく)(思い出せない)……
何も拾わないくせに。わたしがまだ僕だったころ、グラウンドに突っ立っていた夏の日の遠さばかりが回想されて、周りから責めてくる重い暑さに対抗してぎらぎらしていた。半歩踏み出せば(みんなのことが信じられなくなる。)
(きみたち。きみたちに対して謝りたいと思っている。謝ることもない、それくらいわたしはほんとうに何もしなかった。悪かった。きみたち、き
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