蛇の話/はるな
少女の終わりごろ、視線の先でうまれた蛇を飼っていた。
あまりにも白く、ちいさく、
そして骨ばった足までついていたが、たしかに蛇だった。
そのときわたしは恋をしていたから、
蛇にもそのひとの名前をつけた。
るる、るる、
と喉を鳴らしながら呼ぶと、
にっこりと笑って寄ってくる。
恋は難航していたが、
蛇は可愛かった。
蛇は視線の熱をたべるのだった。
だからときどき、図書館や、喫茶店や、映画館へ連れて出た。
熱をはらんだ視線をみつけると、
蛇はすっと近づいて行ってそれを食べた。そして少し膨れた腹をするようにして戻ってきて、「おいしい」とか「すごくおいしい」とか言
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