スイッチを切れ、稼働音は邪魔にしかならない時だってあるさ/ホロウ・シカエルボク
 
街はなんの変哲もなかった、長い休日なのに人出もたいしたことは無かった、俺が子供の頃は歩くのも困難なくらい人でごった返してた街、もうそんな光景は二度と無い、そもそも店自体が随分と減ってしまった、地域再生、なんて言葉をよく耳にするけれど、滅びなんてものは始まった時点で終わっているのさ、そうなってから手を施したところでもう手遅れなんだよ、進行の早い癌細胞みたいなものさ、そいつを止めることは、そうさ、おそらく誰にも…だから俺はあるときから、人間であることもやめたんだ、人間はすでに滅びに向かっている、高スペックの身体を持ちながら、そのほとんどの機能に気付かずに、産業用ロボットのように決まったルーティンだけを
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