もうひとつの越冬/山人
 
れもないあなた(神だったのか?
顔が腐りかけ物凄く重くなっていた私の螺子が?げ始めた時、霧がやってきていたのだった。命の霧、鎹の霧、だったのであろうか


会話という酩酊の中で唾液を交わし合う男たちの前で、私はそれを見つめていた
それぞれが言葉をころがしては漏斗状の唇から解き放し、それが泡となって漂い、リーダーはそれを大切に舐めている。彼ら男同士の交接を冷たい目で追う私はいたって孤立し錆びた臭いにつつまれていた
それでも季節は一歩づつ深まり、虫たちが空気の冷たさを感じ、草や木の息が感じられなくなると秋が深まっていく


みぞれ混じりの雨が標高を上げるにしたがい、はっきりとした形となってボタン雪が降ってきていた
微細な塵に水分が付着し雪となって舞っている
季節の変わり目のその瞬間を目の当たりにすることがこんなにも敬虔な気持ちにさせてくれるのかと思う

磨き上げてきた首を夕刻、私たち(私)は差し出す
砂を?んだ七カ月の思いは歯のすき間に仕舞い込み、唇を凍らせる
さし障りのない言葉が最後の日の闇に包まれた仕事場から心のよりどころに向かって歩き出している
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