ひみつ―澱/
凍湖(とおこ)
ひみつ
口にもしないから
風も通らずよどんで
古い醤油瓶底のようなそれ
そんなものが胸のすきまに
たまって
口がどんどん重くなる
もう一言も発せないから
すこしばかり目をあげて
じっと待っている
まなざしの影がのびて
あの人のそれにふれるのを
そして鋭利な刃物でぐっさりやられるのを
じっと、待っている
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