さみしい希望/秋葉竹
 

 

カッくんがご飯をほおばるのが
好きだった

心象は朝から降りつづける雨のせいで
すこし軽めに滅入っていたり
部屋から一歩出る勇気の取り出しかたを
なんだか忘れてしまったり

そんなまるで急がない時間の中でも
受け止められる繰り返しの言葉を
衰えてしまった町の新しさを探すように
でも信じながら生きてゆくんだ

カッくんがご飯をほおばるのが
好きだった

日々どこへ通うのか知っているから
怯えながらでも恐れながらでも
その唇が告げる場所にゆこうとする
かけ声をたまにはかけたりしながら
愛してるって稀には告げたりしながら

昨夜みたのはあなたの夢だったかな

カッくんがご飯をほおばるのが
好きだった

あなたの夢をみたのは何年ぶりだろう

夢の中だからちゃんと気持ちを伝えられた
だから目が醒めたらやっぱり泣いていた

むろん絵物語のようなさみしい希望だ







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