午後/たもつ
 


駅舎の垢を落としていた工夫が
簡単な朝食をとるためだろうか
夏の最中にゆっくりと
手紙を出した
曇り空のホテルに停泊した潜水艦は
色とりどりに悪態をつくけれど
言葉がすべて気化してしまうから
傘を開くたびに
痩せ細っていくしかなかった
証明写真館から壊れたレコードの
匂いが漂う午後が明日になると
群生した煙突たちは一斉に
見ず知らずの平和を呟き始めた



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