THE GATES OF DELIRIUM。/田中宏輔
 
か。この「ひらがな」の言葉が持つ映像喚起力というのは、幼少時の学習体験と密接に結びついているように思われる。八一の歌の、その読みのたどたどしさもまた、その映像喚起力を増させているものと思われる。ときに、わたしたちを、わたしたちが言葉を学習しはじめたときの、そのこころの原初風景にまでさかのぼらせるぐらいに。 たどたどしいリズムが、わたしたちのこころのなかにある、さまざまな記憶に働きかけ、わたしたちを、わたしたち自身にぶつからせるような気がするのである。つまずいて、はじめて、そこに石があることに、わたしたちが気がつくように。


存在を作り出すリズム
(アーシュラ・K・ル・グィン『踊ってガ
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