THE GATES OF DELIRIUM。/田中宏輔
こころがどういった状態になったのか、後日、つぎのように分析していた。
わたしのなかで、さまざまなものたちが目を覚ます。知っているものもいれば、知らないものもいる。知らないもののなかには、その言葉によって、はじめて目を覚ましたものもいる。それらのものたちと、目と目が合う。瞳に目を凝らす。それも一瞬の間だ。順々に。すると、知っていると思っていたものたちの瞳のなかに、よく知らなかったわたしの姿が映っている。知らないと思っていたものたちの瞳のなかに、よく知っているわたしの姿が映っている。ひと瞬きすると、わたしは、わたし、ではなくなり、わたしたち、となる。しかし、そのわたしたちも、また、すぐに、ひ
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