THE GATES OF DELIRIUM。/田中宏輔
 
ーフの上に書き出していくようにと言ったという。すると、そのとき、その友人も、面白がってつぎつぎと書き出していったらしい。二、三十分くらいの間、ずっと集中して書いていたという。しかし、「これ以上は、もう書けない。」と言って、その友人が顔を上げると、詩人は、ルーズリーフに書き綴られたその友人の文章を覗き込んで、そのときの気持ちを別の言葉で言い表すとどうなるかとか、そのとき目にしたもので特に印象に残ったものは何かとか、より詳しく、より具体的に書き込むようにと指図したという。そのあと、詩人からあれこれと訊ねられたときをのぞいては、その友人の手に握られたペンが動くことは、ほとんどなかったらしい。約一時間ぐら
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