真夜中には哀歌を、不吉な目覚めには朝の光を/ホロウ・シカエルボク
を発信し続けている…駄目だ、小型の発信機が偶然俺の耳に落ちて来る可能性などほぼ確実にゼロだ、俺は発信機の可能性を排除した、氷なんかはどうだ?すぐ溶けてしまうし、そもそも、滑り落ちた瞬間に気付いて対処出来るだろう、馬鹿、真面目に考えろよと俺は自分を罵倒した、罵倒したところで何にもならなかった、別の可能性なんてもう思いつかなかった、なにか似てる音楽を探して流してみたらどうだろう、少しは気もまぎれるんじゃないかという気がした、そういう音楽には心当たりがあった、ジョン・ゾーンのエレジーを引っ張り出してプレイヤーに入れ、再生を押した、そうそう、この音―エレジーは見事に苛立たしい雑音を取り込んだ、俺はいい気分
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