1000年の時を越えて ―Please Call My Name ―/りつ
 
の最も暗い時に、遠征からお帰りになられました。
わたくしが塔の上に真っ直ぐ前を向き、立っております。
お帰りになられたあなたには気付いてない。
あなたは少しの間、愛おしそうに見詰めておられます。
するといきなり、あなたが見詰めていることに気付かなかったわたくしは、
塔の上より飛び降りて自殺します。
あなたはわたくしの死体をかき抱き、狂ったように名前を呼んでおります。
何の事情も知らぬあなたは絶望し、もう神の声に従うことはありませんでした。

事情をお話いたします。
塔の上には、追いかけられて、逃げてまいりました。
追いかけてきたのは、魔が集合した思念体。
どす黒く、ひとりの
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