唇の漏らす言葉のうた/秋葉竹
 
けになる

正直に告白してしまうと神さまのことを
ほんのすこしは信じているんだ
どこのだれにも伝わらないこの言葉を
それでもごくたまに聴いてくれたりする

そしてなにより痛ましい過去の姿を
いつのまにか忘れさせてくれたりする
カレンダーがもうすぐ新しくなるから
おめでとうと口々で云いあう日が来る

はるか山中では猪や鹿や熊たちは
どれほど静かな優しさに包まれているのか
そんな運命の冬の夜には月光が降りそそぐ
静かな優しいそれでいて寂しい光が降る

なにが正しいのかがわからなくなって
ただ白銀の唇から言葉を漏らすだけになる








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