THE GATES OF DELIRIUM。/田中宏輔
 
しれない。その可能性は大きい。しかし、あいまいな記憶が、どうなるのか、といったことはわからない。その記憶があいまいな原因が、なにか、わからないからである。思い出したくないことが、思い出されて仕方がない、ということも、あるのかどうか、わからない。意思と記憶との間の関係が、いまひとつ、はっきりわからないからである。人間というものは、覚えていたいことを忘れてしまったり、忘れてしまいたいことを覚えていたりするのだから。しかし、『いまひとたびの生』の設定に従えば、一人の人間の内面で、一人の人間の心のなかで、自己との対話が、より明瞭に、より滞りなくできるようになるのではないだろうか? 感情の増幅に関しては、そ
[次のページ]
戻る   Point(15)