パーフェクト・ワールドはなにもかも未定/ホロウ・シカエルボク
 

割れた鏡の破片を踏みつけた朝、床中に広がる、真赤な俺の血液、足首をきつく縛って、軟膏を塗り込む、幸い破片は表面に浅く残っていただけだった、鋭い痛み、何をするにも億劫、特別な予定も無いのでその日はじっとしていることにした、片足で跳びながら破片を片付け、床を軽く拭いた、時間がそんなに経っていないのですぐに拭き取ることが出来た、念のため黒いタオルを使った、捨てても騒ぎにならないように―他人の落度には敏感な人間が増えた、そんな連中はたいてい、自分の顔が荒れ放題なことにも気が付かない、贅肉の塊みたいななりで、通り過ぎた誰かの容姿を云々する、まったくお笑い草だ―あまり関係の無い話だった、音楽を流して、デビ
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