異変/ホロウ・シカエルボク
目覚めの景色は死蝋を思わせた、ベルベット・アンダーグラウンドが小さな音で流れていた、それは右手に握られていた俺の携帯から聞こえているのだった、ここがどこなのか思い出せなかった、が、思い出そうという意欲も無かった、目が覚めたのだからそのうち思い出すだろう、そんな程度に考えているだけだった、まだ動き出す気にならなかった、仰向けに寝ていた、だからここが自分の部屋でないことだけはすぐにわかったのだ、左側に寝返りを打った、グロテスクな造形の―おそらくは悪魔のような生きもののゴム製のマスクがまず目に飛び込んできた、頭からすっぽり被る、汎用型のアレだ、その顔はなにかを思い出させたけれど、言語化出来る状態にな
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