雨の中で/ホロウ・シカエルボク
歩道橋の下で雨を凌いでいた、空は灰色の絵具を混ぜた水のような色合で、それは逆に気分を少し冷静にさせた、灰色、それは特別なことではなかった、灰色は俺の日常の色彩だったのだ、買ったばかりの靴の底が少し気になった、小石が溝に挟まっているようだ、何度か路面に擦り付けたらそれは解消された、急に降り始めたから急に止むだろう、我ながら楽観的な見解ではあった、構やしない、どのみち見解なんてものが現実とリンクする確率は極めて低いのだ、見解があるだけで自分を利口だと思えるような連中以外はみんなそのことに気づいてる、俺の言ってること間違ってるかい?ともかく今は待つしかなかった、濡れて帰ることに抵抗があるわけじゃない
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