無音/這 いずる
 
寄せては返す波が
実をひとつちぎって落として
落として攫ってしまった

私の手から離れていった


私と
私と話してくれませんか
孤独の
孤独の話をしましょう
私たちが遊んだ遊星の空想と混じった
現実なんてほとんどない
創り上げられた理想の
楽園が
瞬いて瞬いて煌めいて燃えて
燃え尽きていくのでしょう
灰は飾る
レースのベールを

私たち
私たちの話を
しましょう
私たち
いく場所も解らずに
彷徨っているだけの
道行が
雪が重なっていくでしょう
ちらちら
ちらちら
あの峠を抜けたら
どこにも 何処かへ 見通しが
山に山が山に山に

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