モノローグ・ギャングの照準/ホロウ・シカエルボク
それは混沌ということなんだ、なにもかもごた混ぜになっているのが当り前なのさ、どうして言葉にして理解しないといけない?頭で理解することなんかそんなに重要じゃないよ、まずは身体が感触としてそれを覚えて、それを少しずつ脳に伝えるんだ、長い時間をかけてそれはある程度精度の高い答えへと変わる、それは結論を求めないからこそ出来ることなんだ、解答を求めてしまえば結果を焦ってしまう、でもそれにはどれだけ時間がかかるか誰にもわからないんだよ、早くわかることもあるし、遅くわかることもある、様々なコンデションが関係してくる、人間の理解のプロセスはひとつとして同じものはないのかもしれない、俺たちは思っているより刹那的な生きものなんだよ、ただ妙に考え込みたいだけの生きものなんだ、だけどさ、それを拒否したら動物と同じなんだよ、それならこんな込み入った骨格と脳の構成を持って生まれてくる必要なんかないんだ、ねえ君、一度じっくりと考えてごらん、君の中にある完結した世界が、現実より広いなんてことは絶対に在り得ないんだぜ。
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