ずっと好きでいられますよう/由比良 倖
版印刷は、大昔に石盤に刻まれて今は風化しかけた文字のような、謎めいた感じがする。一冊の本には、情報を超えた魅力が詰まっている。詩集や小説や、画集……。
僕は苦しみながらも生きていくんだろう。想像力に囲まれて。紆余曲折したこの文章だけど、結論としては、最初から書いている通り、理由も無くただ好きなものは好きなんだ、という気持ちを大事にしたい、というそれだけのこと。それは、抽象的な真理に走りがちな僕自身に対する戒めでもある。
ここまで、長い文章を読んでくださった方には、感謝しかありません。どうか、あなたにも世界の美しさが訪れますよう。個別で具体的なものごとを愛せますよう。特定の誰かを愛せますよう。そして叶うならば、特定の誰かに愛されますよう。ふたりでささやかなことを喜び合って、くすくす笑えるような時間は、この世で最も得がたく、最も素晴らしいものだと思うから。
また書きます。僕は疲れたので眠ります。いい夢が見られなくても、眠ることはまた新しく世界を愛する為に不可欠なものだから。おやすみなさい。
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