ずっと好きでいられますよう/由比良 倖
 
、がさがさと走り書きしたり、ちょっとした情景や心の景色を記した短文が散りばめられている。ちょっと前までは冗談抜きで「死にたい」とかしか書いていなかったんだけれど。

 長年A5のノートを使っていたけれど、今はB5のノートの真っ白な広さに、がしがしと自由に万年筆でうっとりするような筆跡で、出てくる言葉をペン先で紡いでいる。

 魚住さんは全然、気の毒なくらい売れてない作家だ。僕は彼女の本を七冊持っているけど、全て文庫本では出ていないどころか、僕が持っているのも全部初版第一刷で、多分一度も増刷されていないと思う。何冊かは絶版の本を中古で買ったし、中古でさえ手に入らない本も、あと何冊かある。

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