ずっと好きでいられますよう/由比良 倖
 
わっている人がいる、と思う。当人にしてみれば、世界の終わりよりずっと決定的な、致命的な精神的ダメージを受けている人がいるはず。

 絶望は僕から、何より好きだった言葉と音楽さえ完全に奪ってしまった。絶望といっても、僕の場合は、きっかけがあったのやら無かったのやら、多分、体質的な鬱が僕を完膚なきまでに討ち滅ぼしにきただけだけだと思うんだけど。

 離人症と鬱にだけはならない方がいい。何故ならその苦しみを表す言葉がほぼ皆無だからだ。現実が現実に見えないと言ったって、死にたいとしか思えないと言ったって、大抵の人は朧気にだけ想像して、そんなものか、と思うくらいなものだと思う。なってみなければ、僕が
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