数式の庭。原型その1/田中宏輔
、そのものとが
一体であったためであると思う。
その存在は、わたしを変形しているときには
わたし以外のなにものでもなく
わたしそのものであったというのに。
それとも、わたしが
わたしこそが
変形するその場とその時そのものであったとでもいうのだろうか。
ひとつの記号にしか過ぎないわたし。
反転しても同じ形をしたわたし。
総和をあらわすギリシア語の最初のアルファベット。
インテグラル。
*
あらゆるものが比である。
と
指が
いくつかの
大きさの異なる
数式の輪郭をなぞる。
指は
太陽の輪郭をなぞり
庭
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