数式の庭。原型その1/田中宏輔
 
に分解されていく。
ひとつひとつに別れていく雲と空と花たち。
もとは同じ数字と記号であったのに。


*


わたしはただの1つの記号にしか過ぎないのだけれど
わたしはときどき他の数や記号といっしょにされて
一度も訪ねたこともない場所で
思いもしたことのない力でもって変形され
はじめて出くわす次元に出現する。
わたしを、それまでのわたしでなかったものにする
その変形の力と、その力の場は
わたしが変形されているあいだにおいては
わたしと一体となっているのだが
しばらくすると
ふっと
力が抜けて
わたしのもとから立ち去るのである。
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