イエローウォーター/おまる
 
ゃべってなくて
泣いてばかりの日々のことだけ思い出して
雨風がしのげる場所を求めて練り歩いてた
とにかく壁と屋根のある空間を探しまわり
道の途中で見つけた「たかはら公園」とか
内部がむき出しになった一棟の架空建造物
ホームレス生活で昼夜が逆転してしまって
夕日は朝日に朝日は夕日みたいに見えてた
ある晴れた日に眼が覚めて風が気持ちよく
なんとなく死から蘇ったような気分だった
西新宿あたりの公園のベンチで寝てたのだ
草木が生えっぱなしのこ汚ねぇ庭の景色と
顔を上げると都庁の立派の姿が眼に入った
それから眼を下ろすと都会に取り残された
狭い公園で寝ている惨めな自分の姿があり
僕は掟でそこから出ないように感じていた
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