ビオトープ/フユキヱリカ
さみしい唇が
のどに鈴を付けて
歩くたび揺れて鳴く
顔迄這い上がる地熱はゆらゆらと
蒸せかえる
濡れたアスファルトの匂い
空は墨青を垂らして
飼育箱の中は授乳室であった
眠り着いた決心は
悟られないように
悟られないように
唇に人差しゆびを
たてていたのにね
瞬きをして
雲間から
溢れた
千の
涙
億の
想像は
螺旋状に
灰を降らせ
地を覆い隠す
いのちを創造し者よ
空白を埋め続けては
決して消えぬ日を
忘れはしないと
誓うてのひら
透かした赤
説き証す
偶像の
血は
今
交わることはなくても
また流されるのなら
それでもなお高く
熱く
焦がれるのだろう
そうして掲げた腕は
枝になり根を張り
産声を上げて
泣いてもいいと
許されて咲く花が
愛されて眠るのでもなく
あたしは
神様になりたかった
.
戻る 編 削 Point(8)