メモ(主に映画についてのこと)/由比良 倖
るような瞬間、そんな誰にでも人生に一度は起こる、自分と世界との一体感を言葉抜きで自覚せざるを得ないような圧倒的なリアリティを、フィルムに刻印すること、……タルコフスキーの信念は、多分そういうことだと思う。人にはあれこれある。いろんな人がいる。でも「リアルな現在」はたったひとつしかない。
例えば、今これを読んでいるあなたが、今まさにこれを読んでいるということのリアリティ。それは完全に掛け替えの無い「あなた」の感覚であるけれど、そのリアリティを支える、「今この瞬間」という感覚は、誰の中にでもきっと存在していて、その共通したリアルな感覚を通して、僕たちはおそらくお互いを自分と同様に、今まさに生きてい
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