メモ(主に映画についてのこと)/由比良 倖
しれないけれど、少なくとも数年前には「最も多く血糊が使われた映画」と言われていた。広い玄関ホールに密集したゾンビたちを、芝刈り機で大量のミンチにしていくシーンは、いつ見ても爽快だ。
僕は長年、実写の映像作品で唯一見たいものは血みどろのシーンだけだった。役者の演技も、芸術的な構図も、よく出来た物語の構成も、僕にはまるで分からなかった。血みどろのシーンにだけぞくぞくするという、書いてみると少しやばいような興味と関心しか、映画には抱いてなかった。
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「もしかしたら映画ってすごいのかもしれない」と思い始めたのは、数日前のことだ。6日前(9月8日)に、僕が大好きな映画監督であるタルコフスキー
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