なにかが寝床にやって来る/ホロウ・シカエルボク
 

無数の甲虫が這いずり回り鋭い牙をカスタネットのように鳴らしながら俺の皮膚を食い破り体内に侵入する、乱雑に食い荒らすせいで俺はまるで使い込まれて捨てられたズタ袋のように大小様々な無数の穴で埋め尽くされる、無数の穴からはキラウエア火山の噴火のように血液が溢れ続ける、虫に埋もれ、血に沈み、やがて死に塗り潰される、虫たちの歯音は遥か昔の改札口を連想させる、悲鳴を上げなかったことが俺は気になっていた、痛みを感じなかったのだろうか、いや、ずっと感じ続けている、いまだってうっすらと、身体が崩壊しかけているのをありありと感じている、では何故だ?いつかこうなることをどこかで知っていたのかもしれないとでもいうのか
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