モラトリアム/蝶番 灯
 

あれから日常がつまんなくなったよ

怖いことも悲しいこともない

虚勢を張る程弱気にもならない

どうしても文字にしたいと思えるような

強い強い思想もない


愛情 嫌悪 倦怠

その他 綺麗なものも 汚いものもこの部屋にはあったはずだったけど

もうこの床やあの壁にも何もない

もうこの窓やあの扉にも色はない


どれが好いのか解らない

どれも何とも思えない

雲さえない空が綺麗に見えない

埃だらけの角が汚いと感じない

周りに何もなくっても

別に寂しくはない



ひとりでいても、特に変わりはない


好きだ
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