デラシネ、或いはパラサイト/レタスの妻
根なし草だった私が、
根を張ったのは
夫でした
夫に寄生して
ほとんど養分をもらうばかりでしたが
ほんの時たま
養分を還流できたと思っています
例えば、バーバーのアダージョ
あれは私が嫁ぐときに持ってきたお気に入りの曲でした
例えば、調べ物や書類物などの事務処理
これは私の得意な分野です
例えば、気に入りそうなプレゼントの把握
夫が喜びそうなものは何だろう?
と考える時間は楽しかったです
もう夫に根を張って長いので
(夫に寄生して長いので)
夫に張った根を刈られると
私は生きていけません
(夫は楽になるのでしょうか)
夫が私から自由になる為には
禁断の魔法の呪文が必要です
「私のために………ください」
私は笑って頷くでしょう
私を狩る権利は、夫だけが持っています
夫だけのものです
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