自己分析(2024/04/30)/森 真察人
 
らのように死にながらの生を始められたと思った。

 彼女は平凡な関係など欲していなかった。よく一人で出かけていたようだし、僕との関係も平凡なカップルのそれとは違っていた。僕はできれば一人で出かけたくない。そんなの寂しくて嫌だ。僕はいつも出かけるとき一人だが、どうしようもない寂しさを携(たずさ)えて歩いている。彼女との関係には緊張があってそれは平凡でなかった気がする。それでも僕は異常な彼女が愛おしくて仕方なかったからそれには見て見ぬふりをしていた気がする。

 彼女との破局は必然的だった。異常な関係性を受け容れられる彼女と、平凡な関係性を望んでやまない僕。ほとんどのカップルが破局を迎えるという常識とは別に、関係性についての嗜好(しこう)が決定的に異なる僕と彼女との関係は、破局して当然だったのかもしれない。
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