いつのまにか滲んだ血でさえ流したあとには忘れている/ホロウ・シカエルボク
 
捻れながら転がり落ち、原形を留めぬほどになった今日の自我を、洗面台で沿った髭と一緒に水に流した、血が混じっていたのはカミソリのせいなのか、それとも何か他に原因があったのか?鏡で入念に調べてみたけれど傷は見当たらなかった、得体の知れない傷、どうもそんなものがどこかに出来ているらしい、緊急速報が何度も携帯に届く、緊急だからって無遠慮にしなきゃいけない理由はどこにもない、少しの睡魔と苛立ち、雨の音にまぎれて俺が吐くべき呪詛が聞こえる、寝床は昨日の夢で散らかっている、ネット通販の領収書を二つまとめて丸めて捨てる、屑籠で悪巧みのような軽い音を立てる、少し腹が張り過ぎている、そんなつもりはなかったが少し食べ過
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