東條英機。/田中宏輔
 
た/黄金の手巾を/見て
/彼は自分自身に言った。                    *40

この手巾を一番多く所有する者が、最大の勇者と判定される/しかし/結局、
それはわたしの手のなかにあったものではなかったのだ。
わたしの手には何もなかったのだ/と。              *41

とはいうものの/定めとあれば、死ぬほかはない/祖先の多くの人たちと同じ
ように/偉大なる祖国のために/私は死んで太陽に捧げられねばならない
/そうだ/帝国のためには、いつでも死ぬ覚悟があった/いつでも。 *42

おお/祖国のために死ぬことの幸福さよ!             *43
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