東條英機。/田中宏輔
 
05

牢を出ると/森がある/森へ入っていく道がある/この森は/彼の故郷だった
/海の上に傾いたこの鬱蒼(うつそう)とした森/彼は/この森を愛していた。*06

やがて/森に入ってしばらく行った斜面で足を停め/木々のあいだから
海が見られるような向きをとった。                *07

もし、時間というものが静止してしまったら?/陽が沈むことがあっては
ならない/太陽の下では一日のうちにすべてが変るのだ
/彼はそう言って、引鉄(ひきがね)を引いた。              *08



規則?
ゆえに、同じ自然の結果に対しては、できるだけ同
[次のページ]
戻る   Point(11)