レコードの溝の数/ホロウ・シカエルボク
 
の喜びは、ただ順路に沿って歩くだけよりずっと楽しいに違いないぜ、とかく現代は、話が早いことが美徳とされる、結論が早い、行動が早い、でも、そんなものは本当に見るべきものを置き去りにするだけに過ぎないのさ、波打ち際の水を手で掬って、この海は暖かいとか冷たいとか言って満足しているようなものだ、息を止めて、自分に見られる限りの海中を覗いて、それで初めて海を知るんじゃないか、そしてそれは自分の限界を知り、動ける範囲で動くことの大切さを知ることも出来る、本当の意味で知るということを、いまの世界は舐め過ぎている気がするんだよ、俺の言ってること分かるかな、俺は、分かったような顔をしたいわけじゃない、自分がまだ知らないでいることを、もっと深く知りたいと常に考えているだけなんだよ。


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