Parasitic 【P】/ホロウ・シカエルボク
 

色褪せ、解れ気味の痩せ細った卵巣に宿った鼓動は産まれる前から眉間に皺を寄せていた、それが俺、それが俺さ、俺の胸中は初めからポエジーに寄生されていた、やつは俺の視神経と血管の幾つかまで根を張り、俺の生まれを面倒なものに変えた、俺の右側が微かに歪んでいるのはそのせいさ、筋の無い舞台のような、決まりきった台詞と動作ばかりの毎日の中で、小学校に入る頃には俺は世俗的なものから乖離を始めていた、肉体はそこに置いたまま、魂はどこか余所にあった、だから違う言葉が必要だった、俺が言葉を綴る理由はただひとつ、俺自身が納得したいせいだ、俺はいつだって、当り前の日常というものを奇妙だと思う心を持って見つめていた、彼ら
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