チューニング・ライフ/ホロウ・シカエルボク
藍色の悲観主義が窓枠と一緒に錆びてる、デカダンスは周回遅れだ、何かを突き詰めて探そうとすると必ず時代遅れだと揶揄される、連中はどんどん頭を使わなくなっているのさ、初見で判断出来るものだけで現代社会は構成されている、これは御伽噺なんかじゃない、ただの現実だから始末に負えない、新しいビルは外観に凝るばかりで、中に入っているものはもう長いこと代り映えしないものばかり、でも誰もがそれを天国だと信じている、この街じゃ幸せとは、停滞の挙句の麻痺のことを言う、思えばいつだってそうだった、俺が子供のころからずっとそうだったよ、満足げな顔をしている連中は決まって、最終的な価値を自分以外のもの―時流や常識、そんな
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