ピエロのナイフ/ホロウ・シカエルボク
擦過傷に滲む薄い血のような光が時折目の端にチラついていた、少し水分を取るべきなのかもしれないと思ったがまだそうしたくなかった、日曜の午後は果てしない熱と退屈の中で軟体生物のようにのたのたと過ぎ去ろうとしている、理やしきたりに従って生きるしか能の無い連中が年に一度の祭りで羽目を外している、こんなシステムを作り上げたやつにはまったく頭が下がる、いまやこの祭りに参加するためだけにこの街に越してくる人間まで出て来る始末、表現欲など微塵もない素人の歌と演奏が街を振動させ続けている、やってるやつらが楽しいだけ、それはこの街のアイデンティティを克明に反映している、ジョン・ゾーンを聴きながら新しい詩のことを考
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