寒い夜/秋葉竹
「古く止まった時をいま動かしたい」
そんなことを云って
破天荒な人生を
とてもかっこよく生きたひとは
そろそろ
「落陽」なんてうたを
歌いはじめても
よいかもしれないね
オレンジ色の人生の黄昏を
すこし眩しそうにそれでも
なんとかみようとしている
みたいな憂愁のひび割れた声で。
夜は
いつだって寒い
真夏だって
寒くしないとダメなんだ
夜は
いつだって
寒くなければ
ダメなんだ
夜はいつだって雨が降る
満月の夜だって雨が降る
夜は
雨が降らなければ
ダメなんだ
そして
凍えてなければ
ダメなんだ
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