Pastiche。/田中宏輔
 
なかをぐるぐる探し廻る。
(原 民喜『鎮魂歌』)

? 天才は奇妙にもあの童話のぶきみな人物にも似て、目をぐるぐるまわして自分自身を眺めることができる
(ニーチェ『悲劇の誕生』秋山英夫訳)

? しかしきみはいっかな姿を現わそうとはしなかった。
(ギュンター・グラス『猫と鼠』高本研一訳)

? 聞えるのは自分の心臓の鼓動ばかりだった。
(シュトルム『みずうみ』高橋義孝訳)

? 僕は僕のなかをぐるぐるともっと強烈に探し廻る。
(原 民喜『鎮魂歌』)

? 突然、僕のなかに無限の青空が見えてくる。
(原 民喜『鎮魂歌』)

? 空が見える。そして空しか見えない。
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