早朝、出勤前-観察者の端くれの説く、万物の変-/鏡文志
 
広く見えていたかである。




実存。架空の概念の世界で生きている私は、思考を通してありとあらゆる世界に思いを巡らせる。
実存を通して、現実の世界に生きている我輩の実態は、精神障害者向けの事業所に通い、珈琲豆の選別をしたり、販売する珈琲のキャッチコピーを筆で書いたりしている。

そこで見るありとあらゆる人間ドラマの数々。
我儘を通しきれないまま、抑えることの出来ない利用者がいる。その弱さと、脆さ。我慢弱さと、問題の根深さ。変わっている、変わっている、変わっている人々の面々。不都合なる社会的カスの群れ。

しかし、そこに愛がある。そこに奥行きがある。
静止し続けてみれば、そこに意義深いなにかがある。観察者はすべてを無駄にしない。

壱、似の参で今日も出発だ。
ありとあらゆるカスとゴミ、社会的吹き溜まり。それらを集め箒で掃けば、世界は汚れがとれて綺麗になるだろうか? むしろ埃が散らばって余計大変なことになるかも知れぬ。
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