渇いた夢/ホロウ・シカエルボク
歪んだ燭台の中の左手の小指の先端の骨はすでに黄色く、そこでどれだけの時間が流れたのか見当もつかなかった、一匹の大きめの蟻が意味ありげにそのそばに留まり、しきりに触角を揺らしていた、石で作られた建物は湿気を溜め込んでいてお世辞にも居心地がいいとは言えなかった、窓枠ごと朽ちて落ちてしまったがら空きの窓からは放置された庭園が見えた、ヨーロッパによくあるような迷路めいた庭、その一番奥にはタージ・マハールのように温室が設けられていた、すべてが荒れて色褪せていた、植物人間を見ているみたいだ、そこに在るすべてが死んだために生き続けていた、以前は噴水であったのだろう空っぽの池は凝った彫刻のついた石で囲われ、そ
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