波の思い出/リリー
 
われていた
 海月が、一月以上も早く大量発生していた

 クラゲ拾いをして遊ぶ私を眺める彼は
 パラソルのある所へ離れて行った
 あの背中は、幼い頃に
 見たことがあったかも知れない

 浜で一人になると
 しらなみの香りで急におそってくる
 心地よい倦怠感
 彼の休んでいるパラソルへ戻り
 もうホテルの喫茶へ行こうと誘った
 「よく冷えたトマトジュースが飲みたい!」

 家族連れや若い人達で混雑する海岸
 寄り添ってふりかえれば
 波が笑っていた

 
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