深海のモノローグ/ホロウ・シカエルボク
 
こに入り込むのがたまらなく好きなんだ、ちょっとなんて言うか、幽体離脱みたいな感覚に陥って、好きに飛べるような気分になる、どこへでも動けるような気分になる、これはある程度のスピードの中で起こる出来事さ、だから俺はいつだってスピードを求めてしまうんだ、合法で純度の高い麻薬さ、その中でいつも思うことがあるんだ、ここに居るけどここに居ないって―俺であるけれど俺ではない、言葉にするとそういう感じさ、演劇なんかやってたやつには理解出来るんじゃないかな、魂は俺たちが思っているよりずっと自由なんだよ、もしも君が俺の言葉になにかを感じたとしたら、それは君が俺の魂に少しばかり触れたってことなんだ、俺は出来るだけ自分とは関係の無い場所で一篇の詩を書きあげたい、それをすると魂が凄く満たされて心地良く眠れるんだ、まあ、そんな風に眠ったとしても、悪夢で目覚める夜だってあるわけなんだけどね…でもそんなの当り前のことだからね、すべてを自由に操るなんて無理な話だし、そんな忌々しい話が小蝿のようにうろついているからこそ、そうじゃない領域の為に躍起になることだって出来るわけだから。

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