深海のモノローグ/ホロウ・シカエルボク
 

明け方の悪夢が目を覚ましてからもずっと漏水のように滲んでいる、それは猛烈な夏のせいだけではもちろんないだろうし、まして狂いかけた脳味噌のノイズのせいだけでももちろんなかった、正気の方が狂気よりもずっと狂っていると感じることはないかい、なに、解釈の仕方はそちらに任せるよ、こっちで全部決めちまうようなやり方は好きじゃないんだ、タンブラーに満たした水の中に走馬灯が見えた、そんなもの俺は望んでは居なかった、昨日の新聞なんか読みたがるやつはいないって古いロックソングにあったっけな、喉を鳴らして水を飲み干すと過去は全部消えてしまった、俺は過去のない男になった、出来事なんかいつまでもストックしておく必要はな
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