光に希み闇に祈る/秋葉竹
いのは
そいうい事実だけだ
生きることに「無」が
有意義だという加速してゆく希望だ
それは孤立した憧憬でもある
光りを失った暗黒のなれの果てを
気づくことができる世界は
なによりも純性を理解しうるかぎりの
一番やさしい浪漫朗々たる欲望を導く
一番深い闇堕ちの物語でもあるだろう
それはまた終わりのない夢の果て
深淵の漆黒に身を委ねる破滅の寂滅
俺はぼろぼろと壊れてゆく堅牢な現実や
みえそうでみえない淡い陽炎の波のことを
苦しみや悲しみや絶望や失望だと
云っている訳じゃあない
そんなものさえ無い世界に吹く風を
美しいと云っているのだ
俺はほんとうの美しさを知って
涙した瞬間だけは宇宙の終焉に至るまで
永遠につづく奇跡の一瞬だと
そしてその美しい世界の記憶を
残しつづけてゆくことを
光に希めばいいのだろうか
闇に祈ればいいのだろうか
わからないし理解できないまま
「無」へと還ってゆく夢だけをみているのだ
光に希み
闇に祈る
「無」へ
戻る 編 削 Point(3)